「知らなかったでは済まされない?建設業許可が必要なラインとは」

■ 開業には“保健所の許可”が必要です

美容院や理容院を開業したいと思ったとき、多くの方がまず考えるのは「場所探し」「内装工事」「スタッフ募集」などの準備です。しかし、忘れてはならないのが「保健所の許可」です。

美容師・理容師として国家資格を持っていても、それだけでは店舗を営業することはできません。開業には「美容所(または理容所)開設の届出および検査」が必要で、所定の手続きと施設基準を満たさなければ営業開始はできない仕組みになっています。


■ 美容所・理容所開設の手続きとは?

美容所や理容所を開設するには、営業開始前に保健所へ申請し、現地検査を受けて合格する必要があります。

【主な流れ】

  1. 保健所に事前相談(内装前に!)
     図面を持って行き、施設の設計が基準に合っているか確認します。
  2. 必要書類を準備して申請
     開設届、構造設備の概要、管理理容師(または管理美容師)の資格証など
  3. 保健所による現地検査
     完成後、設備や衛生面をチェック。合格すれば営業許可証が発行されます。
  4. 営業開始
     許可証の交付後、正式に営業をスタートできます。

■ 許可基準を満たしていないと“営業できない”

美容所・理容所の設計には、以下のような具体的な要件があります。

  • 採光・照明・換気が十分であること
  • 床が水に強く、掃除しやすい材質であること
  • 作業室の広さが必要面積以上であること(例:床面積が13㎡以上)
  • シャンプー台・消毒設備が所定数設置されていること
  • トイレが店内にあること、または一定条件を満たす場合は共用も可

とくに注意が必要なのが「シャンプー台・作業スペースの位置」や「手洗い器の配置」です。内装業者が慣れていない場合、基準を満たさない設計になることもあり、「せっかく完成したのにやり直し」というトラブルも。


■ 美容師免許があれば自由に開業できるわけではない?

美容師や理容師としての免許を持っていても、それだけでは開業はできません。さらに、管理美容師・管理理容師の資格が必要になる場合があります。

【管理者が必要なケース】

  • 2人以上の美容師を雇う場合
  • 店舗で長時間営業をする場合

この資格は、美容師(理容師)免許取得後、実務経験が3年以上必要で、さらに講習会を受講して取得するものです。これがなければ開設者になれない場合があるので、将来独立を考えている方は早めに取得を目指しましょう。


■ よくある質問・トラブル例

Q. 「マンションの1室で開業できますか?」
→ 物理的には可能ですが、建物の使用用途や消防法、騒音問題、近隣トラブルなどに注意が必要です。管理規約によっては禁止されている場合もあります。

Q. 「自宅の一角を店舗として使いたいのですが」
→ 明確に作業室と住居部分が区切られていれば可能。ただし、トイレや洗面台の共有は原則不可です。

Q. 「開業日から営業したいのですが、許可がまだ…」
→ 無許可営業は違法です。検査に合格し、営業許可証が交付されるまでは営業できません。


■ 行政書士に依頼するメリット

美容所・理容所の許可手続きは、一見すると単純ですが、「施設要件の確認」「管理者の条件」「図面の作成」「保健所とのやり取り」など、意外と複雑です。

行政書士に依頼することで、

  • スムーズに申請・検査までの流れが進む
  • 図面や書類のミスによる“やり直し”リスクを回避
  • 開業スケジュールを正確に組める

といったメリットがあります。

とくにテナント契約や内装工事の時期と開業日がタイトな場合、無駄な時間やコストを省くためにも、専門家のサポートを受けることは大きな安心につながります。


■ まとめ:開業準備の第一歩は「許可の確認」から

美容院・理容院を開業するには、「場所選び」や「技術」だけでなく、法的な許可手続きも非常に重要です。開業後にトラブルにならないよう、まずは保健所の基準を正しく理解し、事前相談からしっかり進めることが成功の第一歩です。

「保健所への相談に同行してほしい」「書類を任せたい」「店舗が許可基準を満たすか不安」——
そんな時は、お気軽に行政書士へご相談ください。

この記事を書いた人

岐阜県行政書士会に所属の行政書士です!
資格予備校で公務員講座専任講師も行っております。 
元役場職員の行政の視点からお客様問題解決を図ります!

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