養育費の正しい書き方と決め方|離婚協議書作成のポイント

離婚後も子どもの生活を守るために欠かせない「養育費」。取り決めた内容を明文化し、将来的なトラブルを防ぐには、正確かつ具体的な文言で「離婚協議書」に記載することが重要です。今回は、養育費の正しい書き方と決め方について、行政書士の視点から解説します。


目次

養育費とは?なぜ協議書に明記すべきか

養育費とは、子どもが社会的・経済的に自立するまでに必要となる生活費・教育費等を、子どもと離れて暮らす親が負担するお金です。

口約束で済ませてしまう方もいますが、それでは後に「支払ってもらえない」「条件が曖昧」などの問題が発生しやすくなります。法的な効力を持たせ、支払いの履行を確実にするためにも、必ず書面で取り決めましょう。


養育費を決めるときの5つのポイント

  1. 月額いくらか
     金額は、子どもの年齢・人数、親の収入や生活状況によって異なります。一般的には、家庭裁判所が使用する「養育費算定表」が参考になります。
  2. 支払期間はいつまでか
     通常は「子どもが満20歳に達する月まで」または「大学卒業予定の月まで」などと記載します。例文:
     > 甲は、乙に対し、長男○○(平成○年○月○日生)の養育費として、毎月○万円を、子が満20歳に達する日の属する月まで支払う。
  3. 支払日と方法
     支払日を明確にし、振込口座なども具体的に記載しましょう。
     > 毎月末日限り、乙指定の普通預金口座(○○銀行○○支店・口座番号:○○○○)へ振り込むものとする。
  4. 特別な費用の負担について
     医療費や進学に伴う学費など、通常の養育費以外にかかる「臨時的支出」の負担方法をあらかじめ決めておくと、トラブルを避けられます。
     > 上記とは別に、子の大学進学時の入学金・授業料等については、甲と乙が協議のうえ折半するものとする。
  5. 変更や見直しの条件
     将来的に収入状況が大きく変わった場合などに備えて、「合意のうえで見直し可能」といった条項も入れておくと柔軟です。
     > 養育費の金額は、甲乙いずれかの経済的事情の著しい変動があった場合には、協議のうえ変更することができる。

養育費の書き方の例文(協議書文例)

以下は協議書でよく使われる記載例です。


(養育費)

第○条
甲は、乙に対し、長男○○(平成○年○月○日生)の養育費として、毎月○万円を、令和○年○月より子が満20歳に達する日の属する月まで、毎月末日限り、乙指定の下記口座に振込送金して支払うものとする。
振込手数料は甲の負担とする。

金融機関名:○○銀行○○支店
口座種別:普通
口座番号:○○○○○○○
口座名義:○○○○


公正証書にすることで強制執行も可能に

協議書を公正証書化しておけば、もし養育費の支払いが滞った際に、裁判を経ずに給与などを差し押さえる「強制執行」が可能になります。行政書士が作成した協議書をもとに、公証役場で手続きすることができます。


養育費トラブルを防ぐには「明確に・具体的に」

「あとから揉めるくらいなら、最初にしっかり決めておく」。これが離婚協議書の基本姿勢です。養育費は金額だけでなく、支払方法・期間・変更条件・臨時費用の扱いなども丁寧に取り決めることが大切です。

行政書士は、ご夫婦それぞれのご事情や将来の見通しを踏まえて、法的に有効かつ実務的に安心な内容で文案を作成できます。離婚を考えている段階でも、お気軽にご相談ください。

この記事を書いた人

岐阜県行政書士会に所属の行政書士です!
資格予備校で公務員講座専任講師も行っております。 
元役場職員の行政の視点からお客様問題解決を図ります!

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