『副業だから大丈夫』は危険?副業古物商で陥りやすい落とし穴

副業で中古品の転売を始める人が増えています。メルカリやヤフオク、BASEなどのプラットフォームを利用すれば、個人でも気軽に販売を始めることができ、副収入を得られる魅力があります。しかし、その気軽さとは裏腹に、古物営業法という法律に違反してしまうケースが少なくありません
今回は、副業で古物商を始めようとする方が特に陥りやすい「許可の落とし穴」について解説します。


■ 「自宅の不用品を売るだけ」はセーフ。でも…

まず基本となるのは、「古物商許可が必要な取引とは何か?」という点です。
結論から言えば、中古品(古物)を“買い取って”販売する行為は、原則として古物商許可が必要です。
これには、実店舗だけでなく、ネット販売やフリマアプリでの取引も含まれます。

たとえば、自宅にある不用品を単に処分目的で売る場合、それはあくまで“自己の使用品”の売却であり、古物商許可は不要です。
しかし、誰かから中古品を仕入れて、それを転売するというビジネス行為になると、“反復継続して営利目的で販売している”とみなされ、古物商許可が必要になります。


■ よくある誤解とリスク

副業で始める方によくある誤解に、以下のようなものがあります。

  • 「本業じゃないから許可はいらないでしょ」
    → 警察(公安委員会)は“主たる職業かどうか”ではなく、“営利性と反復継続性があるか”で判断します。副業でも関係ありません。
  • 「少額取引なら大丈夫」
    → 金額の大小も関係ありません。月に数回、数千円規模でも、ビジネス性があれば対象になります。
  • 「メルカリやヤフオクだけだから見逃される」
    → 警察が実際にプラットフォームを調査しているケースもあり、取引履歴や発送履歴から無許可営業が発覚することもあります。

こうした誤解のまま営業を続けてしまうと、無許可営業として古物営業法違反に問われ、書類送検や罰則(3年以下の懲役または100万円以下の罰金)受けるリスクがあります。


■ 実際にあった摘発事例

たとえば、ある地方で副業としてブランド品を転売していた20代男性が、古物商許可を得ずに取引を行っていたとして、古物営業法違反で書類送検された事例があります。本人は「副業だから必要だとは思わなかった」と話していたようですが、法律上は副業も対象です。

また、許可を持っていたとしても、「帳簿の記載(古物台帳)がされていない」「営業所の表示が不適切」などの理由で行政指導を受けたケースもあります。


■ 副業でも許可を取るメリット

副業だからこそ、古物商許可を取得しておくことには大きなメリットがあります。

  • 安心して取引を継続できる
    → 警察の調査にも対応できる「法的な土台」が整う
  • 仕入れ先との信頼関係が築ける
    → 「許可証の提示」を求められる取引もあります
  • 帳簿管理を通じて事業の数字が明確になる
    → 確定申告や経費計上もスムーズに

副業での収益を本業並みに育てたいと思っている方こそ、早めに許可を取得しておくことをおすすめします。


■ 許可取得の流れはシンプル

古物商許可は、営業所を管轄する警察署(生活安全課)を通じて申請します。
主な必要書類は、以下のとおりです。

  • 申請書
  • 略歴書
  • 誓約書
  • 住民票や身分証明書
  • 賃貸物件の場合は使用承諾書

申請から許可までは約40日〜60日程度かかり、手数料として19,000円(都道府県により異なる場合あり)が必要です。


■ まとめ:副業こそ「クリーンな運用」が成功のカギ

「副業だから、許可はいらない」「少しだけだから問題ない」
こうした考えは、結果として大きなリスクを招く可能性があります。副業でもしっかり法令を守り、正しい手続きのうえでビジネスを行うことが、長期的な信頼と安定した運用につながります。

古物商許可は「ハードルが高そう」と思われがちですが、行政書士に依頼すればスムーズに取得できます。副業で古物ビジネスを始めようとする方は、まずは専門家に相談してみてはいかがでしょうか。

この記事を書いた人

岐阜県行政書士会に所属の行政書士です!
資格予備校で公務員講座専任講師も行っております。 
元役場職員の行政の視点からお客様問題解決を図ります!

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