知らなかったでは済まされない?建設業許可が必要なラインとは

■ 建設業許可は“あると便利”ではなく“必要になる”許可

建設業界では「うちは小規模だから許可はいらない」と思っている方も少なくありません。しかし、実際には請負金額が500万円以上(建築一式工事は1,500万円以上または延べ面積150㎡以上の木造住宅)になると、建設業許可がなければ工事を請け負うことができません。
この“500万円ルール”は税込価格での判断です。材料費・人件費を含めた総額であることから、実は意外とすぐに届いてしまう金額なのです。

また、元請や大手との取引では、金額に関係なく「許可を持っていること」が前提になるケースも増えており、今後の取引拡大や信用面を考えても、許可の取得は大きな意味を持ちます。


■ 「建設業許可がなくてもできる工事」もあるが…

もちろん、500万円未満の軽微な工事については、許可がなくても請け負うことは可能です。
しかし、実務上はこんな“想定外”がよくあります。

  • 当初は400万円程度の見積もり → 追加工事で600万円に
  • 元請から「許可番号を教えて」と言われて焦る
  • 入札や官公庁案件に興味があるが、許可がなくて門前払い

このように、「今は小規模だから」という理由だけで取得を先延ばしにするのは、チャンスを逃す原因になることもあります。


■ 建設業許可を取るための条件は?

建設業許可を取るには、主に以下の5つの条件を満たす必要があります。

  1. 経営業務の管理責任者がいること(経管)
     …建設業に関する経営経験が5年以上ある役員等が必要
  2. 専任技術者がいること(専技)
     …資格または実務経験(例:10年以上)が求められます
  3. 財産的基礎があること
     …自己資本500万円以上、もしくは直近決算で500万円以上の残高証明など
  4. 欠格要件に該当しないこと
     …過去の刑罰歴、破産者で復権していない等
  5. 適切な営業所があること
     …事務所として独立したスペースや設備が必要

中でも「経営経験」や「技術者の実務経験」は、証明方法に工夫が必要なことが多く、書類作成の難易度が高い部分です


■ 許可取得で得られる3つのメリット

建設業許可を取得すると、単に「500万円以上の工事ができる」だけでなく、さまざまなメリットがあります。

  1. 信用力アップ
     → 元請業者や金融機関、取引先からの信頼が向上
  2. 大規模工事・公共工事への参入が可能に
     → 今後の事業拡大の選択肢が広がる
  3. 求人・人材確保にも有利
     → 求職者が会社を選ぶ際の評価ポイントになる

許可を取得することは、単なる義務ではなく、「会社の成長戦略の一環」としてとらえるべきでしょう。


■ よくあるお悩みと注意点

申請にあたってよくあるご相談には、次のようなものがあります。

  • 「個人事業主から法人にしたばかりだけど取れる?」
     → 法人設立前の経営経験や技術者の実務経験も活用できる場合があります。
  • 「以前は建設会社に勤めていたけど、証明できる書類がない…」
     → 雇用証明書や工事経歴の補足書類で代替可能なケースも。
  • 「営業所って自宅じゃだめ?」
     → 条件を満たしていれば可能。ただし、他業種との併用や賃貸契約の内容には要注意。

このように、自己判断で「ダメだ」とあきらめる前に、専門家に相談することで申請できる可能性が広がることがあります


■ まとめ:将来を見据えた“備え”としての許可取得を

建設業許可は、今すぐ必要ではないと感じている方にも、**「いずれ取得するつもりなら早い方が得」**という許可です。特に、追加工事や元請からの依頼、事業拡大のチャンスが突然やってきたとき、「準備不足で受けられなかった…」という事態は避けたいものです。

行政書士は、許可取得に必要な要件の確認から、申請書類の作成・提出まで一貫してサポートできます。
建設業界で着実に事業を伸ばしていきたいとお考えの方は、ぜひ一度、専門家にご相談ください。

この記事を書いた人

岐阜県行政書士会に所属の行政書士です!
資格予備校で公務員講座専任講師も行っております。 
元役場職員の行政の視点からお客様問題解決を図ります!

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